9 時間。
手術を受けるため本日の午後 2 時にこの病院を訪れてから、かれこれ 9 時間待たされている。
手術を受けるのは僕ではなく。僕の彼女。
彼女は、ストレッチャーに乗せられたまま空腹と病院特有の寒さに参ってしまっている。
問題は二つ。
- 空腹
- 寒さ
2 の寒さについては、適当にその辺の処置室に侵入して何枚かの毛布を拝借してきたので当面大丈夫だ。病院側の放置プレイに乗じて好き勝手やってる。
問題は 1 の空腹。とういうのも手術を受ける患者は最低 6 時間前から飲食禁止になっているのだ。本日の朝になって午後 2 時に病院に来いと言われた彼女は当然何も食べずに家を出た。
現在午後 11 時になるのだが未だ何も起きていない。付き添いの僕は別に飲み食いして良いのだが、事前に食料を調達するタイミングを失ったため、一緒になって腹をグゥグゥ言わせている。人間腹が空いているとイライラするのは本当なのだなと今更ながら思う。彼女は空腹と疲労にも関わらず健気に、そして静かに毛布にくるまって時が過ぎるのを待っている。一方で僕は担当の看護師につかみ掛かりそうになったので注意されている。
数時間おきに、仕切りカーテンを開けて看護師が顔を出しにやってくる。しょうもない言い訳をするためだ。まぁ言い訳しに来るだけマシなのかもしれない。忘れ去られていない証明だから。
カナダの病院は無料だ。パブリック(公立)の病院に限るのだが無料だ。
その無料の代償がこの殿様商売なのだ。お金に余裕のある人はプライベートのクリニックを利用しましょうね。