モントリオールでプラモを買う。

モントリオールでプラモを買う。

  • 日本人

日本の皆さんこんにちは。Kyoshin です。

今回は年末年始にも関わらず、相変わらずバタバタと忙しい我が職場からクビ覚悟でお届けします。皆さんにバレると日経平均株価、NASDAQ や Bitcoin 市場に思いもよらぬ影響を与えかねない商品を扱っているため写真の一部にモザイクをかけてあります。年末ということで、特別長く伸びたキャンディーを舐めながら楽しくお仕事です。

物作り

2017 年も終わりに近いとある日曜日、急に何かを組み立てたい衝動に駆られた僕は彼女と久しぶりに街へ出かけることに。組み立てるものが欲しい。

僕は物作りが好きだ。現在 Web 関連商品を作る仕事をしているのも好きが高じた結果なのかも知れない。ただ、僕が作る物は Web 世界でのみ存在する幽霊みたいなものなので、残念ながら手で触ったりペロペロ舐めたり匂いを嗅いだりはできないがマウスを通じて感触を感じることができる。そう考えると Web のお仕事はサービス業などの第三次産業ではなく立派な第二次産業だ。というわけで今日はなんだか久しぶりに手で触って感触を楽しめるものを作りたい。

というわけでモントリオールの外れにあるとある模型店を訪れることに。

UDISCO Ltée

UDISCO Ltée 模型店 UDISCO Ltée。en gros ってことで卸売店らしい。

カナダ、モントリオールの Decari ストリート沿いに店を構える模型店UDISCO Ltée。パッと見、入店をためらっちゃうくらい残念な外観だが勇気を出して入ってみる。

入り口ドアを閉めると同時に、横に立つ強面の店員からコートを脱ぐよう言われるので大人しく従う。あとバッグがあればそれもレジに預ける。指示に従えなければ入店お断り。そう、ここは頑固な家系ラーメン店みたいな硬派なとこだ。

模型店の店内 店内に一歩足を踏み入れると、天井の高さまでプラモデルがぎっしり埋まった棚がお出迎え。

田宮模型

タミヤ模型のプラモデルM113A1 Fire Support 田宮模型、タミヤ、TAMIYA、世界のタミヤは日本の男性諸君なら誰でも知ってる静岡県静岡市に本社を置く模型・プラモデルメーカー。世界有数の総合模型メーカーである。

こじんまりした店の外観からは想像もつかなかったが、店舗の奥行きが随分とあるためびっくりするほど広い、というか長い。全ての在庫を無造作に並べただけのようなレイアウトはさながら倉庫である。

積み上げられたタミヤのプラモデル   タミヤだらけ。ここはカナダです。

店内は一階と二階とでジャンルが分かれており、一階はミリタリー物と自動車、二階は鉄道模型となっている。鉄道に興味のない僕は二階をパス。

軽く店内を見て回ると目立つのはタミヤ模型の多さ。だいたいミリタリー物の半数はタミヤで占められている。タミヤ以外のメーカーもあるがパッケージが漢字だらけなので中国のものだろうか。タミヤ万歳。

ウォータータンクなどのプラモデル ミリタリーと自動車以外では一般の建物の模型やウォータータンクなんかもあるのだが一体誰が買うのか。

アットホーム

僕ら以外の客はというと、プラモが好きそうな兄ちゃんと子供連れのおじさんが少々。小さいサイズのプラモでも日本で売られているものに比べると随分と高価であり、とてもじゃないが小さな子供が楽しめる物は置いていない。そそくさと店を出る親子を横目に僕は適当な装軌車両の商品を掴んでレジへ向かう。

実にプラモなんかに触れるの数十年ぶりなので必要な道具など一切持っていない。それでも家にカッターくらいはあるんで大丈夫そうだが、少なくとも接着剤は必要だろう。恐る恐るレジで強面野郎にオススメ接着剤はあるかと聞くと、何故か僕らの後ろに並ぶプラモ兄貴が自慢の丸眼鏡をさすりながらボソっと答える。

「…タミヤだよ。タミヤの接着剤を買うといい。」

強面の店員も腕を組んだまま静かにうなずくし、僕はタミヤの国から来たし、この人たちは少し変だがきっと優しい。間違いない。

タミヤの接着剤 何種類かあったがこの Extra Thin がオススメらしい。黄緑のキャップが目印だ。

組み立て

早速家に帰って開けてみる。まずいな…。面倒臭そう。

パッケージを開けた状態のプラモデル M113A1 Fire Supportという歩兵直接火力支援車両にした。

専用のニッパーなど持っていないので代わりに爪切りを使う。

爪切りについたヤスリでプラモデルのパーツを削る 使ってみて分かったが、バリを取るのも簡単だしおまけにヤスリも付いてる。下手なニッパーより使い勝手が良い。

葛藤

プラモ作り、最初は楽しいのだが継続してチマチマした作業をしていると部品一つ一つの細かさに目も指も疲れてくるし、一時間も経つと普通の感覚の大人なら一体何故こんなものを組み立てなけりゃいけないのか自問自答し始める頃である。「これは本当に必要なのか?」とか、「この細いアンテナは別に無くても良いじゃないんじゃないか。ゴミ箱に捨ててやろう。へへ。」といった邪念がグルグル頭によぎり始めるのもこの頃だが、そんなこと言い始めたらそもそもプラモデル作ること自体必要無いという事実に突き当たって自己が崩壊しかけるので、自己肯定感を高めるためにもちゃんと省かずに組み立てることを決意する。そう、プラモ作りは厳しい。

一方、僕のお仕事兼趣味ある Web さんはどうだろう。Web さんはプラモと違い色々な試みを許してくれる懐の深さがある。例えば「一般的にはこうだけど、実はこういう書き方したらもっといいんじゃないかな。」とか勝手な勢いでトライできるし、もしうまく行かなかったら全部消して一からやり直せば良い。プラモと違い何度でもやり直しが聞く世界。そう、Web さんは優しい。

ツール

ClearView+ Colour 22-inch with standard arm ClearView+ Colour 22-inch with standard arm 普通に購入すると$3,000(30 万円)くらいする高価なものだ。

宝石鑑定士が使ってるようなルーペかなんかあれば良いのに…とブツクサ言いながらやってたらそれより良いのがあると彼女が言う。視覚障害者が本などを読むときに使う ClearView という器具が家にあるのだ。

CCTVに映し出された指 「ほおら。」と彼女が手をかざすとこんなにクッキリハッキリ拡大されてモニターに映し出される。怖い。

こんなにでかい器具なのに部屋の隅に置かれててすっかり忘れていた。さっそく使おう。

CCTV器具を使いプラモデルを組み立てる男 何この外科医。こりゃ捗るわ。

指先の様子が目の前のモニターに拡大されて映し出されるので、こりゃ細かい作業も捗ると思った。最初は。

しかしながら、モニター越しでは指先とパーツの細部の距離感がどうしてもつかめない。最初慣れが必要なのかとも思ったが、考えてみりゃモニターは飽くまで平面(2D)なのだし、この器具はそもそも平面である本や文章を読むためにデザインされているので、プラモ組み立てなど 3D 作業には向いていないという結論に至る。

二時間半後完成。塗装はナシ、うまくいった試しがないから。

完成したプラモデルM113A1 Fire Support まぁ色塗らなくてもそれなりに形になるものだ。

余談だけど、これを組み立てる前「こういった戦闘車両には妙な部分に突起、取っ手や排気口など一般の人には全く意味不明な部品がたくさんあるんだけど、それぞれの意味や使用目的を知った上*で組み立てるプラモはなかなか感慨深いものだよ君。」などど偉そうに彼女に言っていたが、終わってみると何の感慨も感じなかったことをここに報告します。

せっかく完成したので早速遊ぼう。


ガーって手で押すたびに転輪がポロリと取れるのでもう嫌になる。遊べないプラモってどうなの。観賞用ならそうパッケージに書いといてくれ。

読んでくれてありがと。

したっけ。

*Kyoshinは過去に陸自(機甲科)に 7 年ほど在籍

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