モントリオール/カナダの就職事情

モントリオール/カナダの就職事情

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さていい加減たっぷり休んだし、本格的に仕事探すか。無職になってから早くも一ヶ月が経つ。(関連記事:会社潰れたんだけど) 今回はカナダ、モントリオールでの就職状況について書こうかな。katakatakatakata...

カナダでの就職活動

2016 年現在、もはや紙媒体の代表である新聞をとっている家庭が絶滅しつつあるここカナダでは、職を探すツールとしてもう随分と前からインターネットが主流となっている。ためしに Google で「職種+自分の住んでいる街の名前」で検索してみればそこそこの数の就職サイトが出てくるだろう。 まぁ、というわけで僕の職探しツールは専らインターネットだ。

日本語で「就職活動」って書くとなんだかずいぶんと立派な響きがするのだが、こっちではこれといった「活動」をするわけではないので、もう単純に Job hunting「職探し」という表現が最もしっくりくる。というのも、職を見つけるためにやることと言ったら、履歴書を添付した大量の email を募集している会社に片っ端から送りつけるだけなのだ。コピーペーストの世界。当たり前だが社名はしっかり変えて出す。

モントリオールの特殊な求人状況

email 出すだけで職が見つけられる随分とお気楽な国だなと思われがちだが、僕が現在居住するモントリオールではちょっと特殊な事情が存在する。

というのも、多くの募集が二ヶ国語(仏語と英語)を話せることを最低条件に挙げている。失礼なもの言いだが、たかだかマック(McDonald’s)で働くにも仏語は最低限必要だ。採用されるために完璧なバイリンガルである必要はないが、両方の言語で会話をこなせる能力がある程度要求される。(客と直接話すことが想定されていないキッチンの奥であれば、英語だけでも採用されると思う。) 実際のところ、あらゆる職が上記のような採用条件を挙げているので、仏語に馴染みの薄い日本人にとってはずいぶんと難易度高く感じるだろう。

ここモントリオールで顧客と接したり電話に応答しなきゃならないような職場で働こうと思ったらほぼ 100%の割合でバイリンガル、もしくは仏語だけでもしっかりと話せるようでなければならない。というのも、モントリオールのあるケベック州では公用語は仏語のみ。英語は単なるオプションだ。まぁ英語も話せるならいいよね、といった感じの職場も多い。

仏語も英語も完全なる外国語である一般のアジア人にはたいそう敷居の高い職場環境だと思う。 例え君が「英語」と「日本語」の二ヶ国語を流暢に話せたとしても、悲しいがな仏語と英語以外の言語は全くもってカウントされないので、ここでは「一ヶ国語しか話せないんだね君。」というレーベルを貼られることとなる。日本語を話せる能力など(日本語教師やガイド等の特殊な職を除き)全くの役立たずなのである。ちょっと珍しがられて終わりである。

実際にバイリンガルでなければならない職種とそうでない職種ってなんだろうか、ちょっと僕の経験から推測して挙げてみる。

A. 仏語と英語の両方が比較的高いレベルで求められる職

  • 企画・営業(そりゃそうだ)
  • 医療(当然か)
  • カスタマーサービス(電話対応するところ)
  • 販売(良いお店の店員)
  • ウエイター・ウエイトレス(カフェやレストラン等)
  • 警備(夜勤除く)

B. 仏語が必須、英語も話せれば良いなぁといった職

  • ファーストフード店のレジ
  • レジ一般
  • 販売(販売業は客層によるところが大きいのでなんとも言えぬ)
  • 土建
  • 警備(夜勤)
  • 清掃業(夜勤除く)

C. 仏語も英語も求めない「同僚とコミュニケーションがとれればいいよ」の職

  • レストランの皿洗い
  • ファーストフード店のキッチン
  • ピザ配達
  • 清掃業(夜勤)

たぶん賛否両論あるだろうがこんなもんだ。

技術職

ただ上記の例は、特殊技能を要し、かつ直接人と接する必要の少ない下記に挙げる職種だと当てはまらないことが多い。この手の職種は英語だけでも ok なところも多い。

電気工事士

  • IT 関連
  • 特殊な機械のオペレーター・整備
  • デザイナー・アーティスト

要は、物を作ったり操作したりすることで金が稼げるような職種だ。それでもさすがに同僚とコミュニケーションできることは最低限必須だけど。

ジャパレス(日本食レストラン)

じゃあジャパレスはどうなの?って思う人も多いと思う。実際モントリオールのような大都市にはかなりの数のジャパレスが軒を連ねている。ちょっと思いつくだけでも市内に 10 店近くある。

日本食レストランと言っても、客が全員日本人であるわけじゃないので、基本、仏語と英語の両方が求められる。僕はジャパレスで働いたことがないので正しいのかどうかわからないが、少なくとも客と接するポジションなら、ある程度のレベルの仏語と英語の両方が要求されるはずだ。もし、仏語が全然できないのなら全く相手にされないか、一般のレストランと同様、奥のキッチンで働くことになると思う。まあそれでも給料は同じ(最低賃金+チップ)だろう。ちなみに  2016 年 1 月現在の最低賃金は 10 ドル 55 セント。もしチップがもらえる職場(たいていのレストランがそうだが)だと 9 ドル 5 セントまで下がる。まぁチップがあるからね。

ジャパレス含めても、結局は日本語だけで働き続けられる場所なんて海外に存在しないのだ。

僕はこれまで数多くの日本人がワーホリなんかを使ってカナダに渡って来るのを見てきた。ほとんどの人が英語または仏語を勉強するため、あるいは異文化体験をするために来るのだが、びっくりするくらい多くの人が日本食レストランで働くことを選ぶ。もう 100%と言い切って良いくらいだ。 日本食レストランは日本人の巣窟。日本人の友人を作りたいのならベストな職場であろうが、わざわざ海外に来てまでやることなんだろうかと強く疑問に思う。君が今日カナダで作ったマニアックな日本人の友達は実は日本でも環境次第で作れるのだ。それよりもカナダ人の平凡な友人 1 人作って帰ろうじゃないか。 仕事の時間に加え、プライベートまで日本人とつるむようになるともう英語・仏語の伸びはとんでもなく遅くなるのも知ってるでしょう。 滞在目的にもよるが、わざわざカナダに来てまで日本語を使う環境を自ら作ってしまうのは、ネイティブの外国人教師が売りの英会話教室に来て日本人教師を選んでしまうほど理にかなってない選択だ。滞在期間の限られている多くの日本人にとって大きな機会損失なになるのは簡単に想像できるであろう。

多少敷居が高いような気もするだろうが、どんどんローカルのレストランやショップで働いてみると良い。冷静に考えれば店舗数はジャパレスなんかよりずーっと多いのだから、数撃ちゃ当たるの論理で面接を繰り返せば採用される可能性は存分にある。面接は無料だ。 一旦働き始めれば、たとえ英語や仏語が怪しくても君が日本でやってきたような働き方ができるのなら十分に真面目なサムライとして評価されるはずだ。客がいなければ携帯を手にどっか行く、同僚とおしゃべりに夢中で客を平気で放っておく、まず時間通りに来ないなど、日本では考えられないような働き方をする輩が多く存在するエントリーレベルの職場では、真面目だけがとりえの日本人にとって結構容易な職場だったりするのだ。

最後に

僕自身もカナダに来た当初(2010 年)は、多くの日本人と同様、仏語も全く話にならないレベルだったし特殊な技能も持ち合わせていなかった。なんせ元陸自。 最初は怪しいハンバーガーショップで仏語を学びながら一年間勤務し、その後警備で一旗上げてやろうと思ってセキュリティガードになった。まぁそれでも仏語の客と英語の客が代わる代わるクレームをつけにくるような職場で3年弱働いてみて、両方の言語が高いレベルで要求されるこの職場で、幼少期から両方を話してきた同僚達と限られたポジションを奪い合うのは相当不利だという事実を十分に思い知った。 もちろん物凄い量の努力を積めば何とかなるのだろうが、ネイティブと戦えるくらいに言語レベルを引き上げる努力ができるくらいなら、その時間と労力を言語に頼らない職種に指向したほうが賢い、というかてっとり早いのではないかということに気付いた。それが 2013 年の暮れ。

ということで 2016 年現在の僕の肩書きは web デザイナーだ。先に挙げた技術職の例の「IT 関連」と「デザイナー・アーティスト」の中間ってところだろう。有難いことに web 関連の仕事は英語だけで成り立つところが多い。 ちなみに僕のプライベートも含めた生活は現在英語のみで成り立っている。僕は英語を話すことが好きなので満足だ。個人的には仏語を母国語とする友人のほうが(英語のそれより)多いのだが、そんなこと気にせず最近はずっと英語で話しかけている。昨年を振り返ってみるとプライベートな時間も含めて仏語を話した時間は 1 時間もないと思う。

もし君がこちらに渡って来てそこそこ見通しの明るい仕事に就こうと思ったら、バイリンガルであることを要求される土俵に飛び込んでネイティブ達と戦うよりも、学校に通うなりして技術職への転換を狙ったほうが効率が良い。彼らのホームで戦うよりも比較的少ない労力で成果(収入やポジション)が得られると思う。 一方、生まれも育ちも日本の人間が完璧なバイリンガルになるためには数年、もしくは 10 年単位にわたる努力が要求される。それでもネイティブ達と競い合うには不十分だったりするのだ。

いろいろ勝手なこと書いたけど、ブチ切れた思いや質問があればどんどん送ってください。今時間があるんで答えるわ。

そうそう、冒頭に一ヶ月休んでたって書いたけど、実際は新しいウェブサイトつくってたんだ。自分を売り込むためにさ。 まぁちょっと見てみて感想ください。なんか変な動きや明らかなエラーがあったら教えてれると助かります。-> daishodesign.com

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読んでくれてありがとう。

したっけ。

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