世界を切り開く白人と文句を言わないアジア人

世界を切り開く白人と文句を言わないアジア人

  • 社会

今日も仕事の後プール行ってきた。 最近のプールは混んでいる。暖かくなったせいだろうか、最近僕が足繁く通う市民プールは平日とはいえ、夜のこの時間にもなると涼を求める人々でごった返すことがたまにある。 なんせこの比較的大きな温水プール、モントリオール市民には年を通じて無料開放なのだ。暑くなれば混むのも理解できる。

本日のプールは多数の白人男女と僕を含めた数人のアジア人、そして大量のお子様達で占めらていた。 なかなかの人種のるつぼ具合である。

僕を含む数人のアジア人スイマー達は、無数のガキンチョとビーチボールとおもちゃがそこかしこにプカプカ浮いてる混雑したエリアで、文句も言わず器用に障害物を避けつつ無料プールの感触をそれなりに楽しんでいた。

だが僕らを含め皆知っていた。隣にはコースロープ一本で隔てられた広大な区域があることを。誰かが使用しているわけでもないのになぜか進入禁止であることを。

この無意味にだだっ広い無人エリアは、係員によると本日もうすぐ始まるスイミングレッスン用に確保している区域なので開放するわけにはいかないとのこと。まぁ分かるわな。

しかしながら、もっと良い環境が用意されて然るべきだと考える白人スイマー達は係員に詰め寄り「レッスンがまだ始まっていないのだからそれまで開放するべきだ。」と主張する。

彼らの言うことももっともだ。

なぜなら沢山の子供と無数に浮かぶ所有者不明のビーチボールのおかげで、本日のプールは目も当てられない程のカオスと化している。こんなとこで泳げるのはガキンチョとアジア人しかいない。 係員も事情は理解できている様だが、とうとう最後まで首を縦に振ることはなかった。

そんな中、祖国で人混み・理不尽な環境を存分に経験してきた僕を含むアジア人スイマー達は「確かに混雑しているけど所詮無料だしこんなもんでしょ。」と諦めと開き直りの精神をもって、機雷の合間を縫って進む掃海艇のごとく器用に、そして逞しく泳ぐのだった。

プールを楽しむたくさんの人々 見よ。これが某国のプールだ。

これこそ環境が育んだ草の根根性。

我々アジア人にとって、世の中というものは常に理不尽を強要してくるどうしようもない奴なのだ。たとえ国が変わっても、こんな平和な市民プールにおいてもこれら不条理から逃れることはできないし、その度に文句を垂れてもカロリーと時間の無駄だと知っているのだ。

我々は「多数の理不尽」と「劣悪な労働時間」と「同僚からの妬み」と「選挙カーの騒音」と「働かないオジさんが大勢いる政府」と「破綻した年金制度」と最後に「どこ行っても人混み」がセットになったアジア的環境の中、それに何とか適応し可能な範囲内で楽しみを見い出し「しのぐ」というチャレンジ精神にも似た工夫に長けていると言える。

この精神性は白人達にはちょっと理解できない代物だ。

そんなんだから僕らはこんな環境でも文句も言わず夢中になって泳いだ。 なんせただ泳ぐだけでも大変だ。自分のライン上に次々飛び込んでくるガキンチョやビーチボールを左右に、時に潜って避けつつ前進しなければならないのだ。これはもう別のゲームか何かだ。大変忙しい。

水に浮く浮き輪 こっちのプールには制限なんか無い。勝手に色んなものを持ち込んで目一杯楽しむのがカナダ流だ。

20 分ほど目一杯泳いだ後は休憩しよう。 壁に寄りかかりつつふと視線を上げると、いつの間にか閉鎖中だったエリアはとっくに開放されており、当初交渉にあたっていた白人達が誰にも邪魔されずに伸び伸びと楽しんでいるではないか。どうやら係員が折れたらしい。 ガキンチョゾーンでゴミと障害物に忙殺されていた我々アジア人は、自分たちのエリアが拡大された事に全く気付くことなくいつまでもこの劣悪なエリアで必死に泳いでいたのだ。

ぐぬぬ。

世界の歴史と同じだ。

アメリカ大陸を発見したコロンブス一行 アメリカ大陸を発見した白人さん。1492 年

より良い環境を求める白人が努力し、時に強引な方法により世界を切り開く。その後、我々アジア人が徐々に移住してその恩恵を享受するのだ。本日、ここモントリオールの片隅に位置する市民プールで数世紀分の世界史が 20 分間に凝縮されて再現された。素晴らしい。

そんなことを思いつつ僕は広々としたエリアに小移動し、伸び伸びと残りの時間を楽しんだのであった。

白人には敵わん。

読んでくれてありがとう。

したっけ。

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